ビジネス競争が激化する中、限られた人員・時間の中でいかに成果を最大化できるか。「生産性の向上」や「業務の効率化」は、企業戦略の重要なテーマです。

会社全体で生産性をアップしたり、効率のよい業務フローを構築したりする上で、便利なシステムやアプリのサービスが数多く存在します。最新情報をキャッチし、使い方やメリット・デメリットを正しく把握して活用する能力が、俗に言うITリテラシーです。
ハーブ健康本舗では、会社全体で生産性の向上や業務の効率化を図るべく、生成AI研修をはじめITスキルを磨くための研修を実施しています。加えて、部署ごとに業務フローを適宜見直し、必要に応じて新しいシステム・ツールの導入を進めているんです。

現場でITスキルを生かして仕事をしている各部のメンバーは、どのような仕事をしているのでしょうか?インタビューを通じて、通販/EC業界におけるITリテラシーについて考えます。
定義・条件の理解は曖昧にしない|BIツールを駆使するCRM企画 竹下の場合
1人目のインタビューは、CRM企画の竹下です。ハーブ健康本舗の商品をご愛顧いただいているお客さまに最適な提案をすべく、データベースをさまざまな条件で解析しています。

CRM企画 竹下
2023年4月に入社。経営企画からCRM企画へ異動し、既存顧客分析からキャンペーンの詳細分析まで、課題の抽出・解消に貢献している。
― 2024年8月にデータ分析業務の魅力について取材させていただきました。あれから1年経ちましたが、現在はCRM企画にてどのような仕事を担当しているのですか?

竹下
大きくは変わらず、CRM企画で実施しているキャンペーンが終了した後、実施結果の深堀・検証を行ったり、お客さまの最新の状況を調べたりしています。ハーブ健康本舗のお客さまの実情を理解してニーズを深堀できるよう、お客さまのステータスをかけ合わせて購買頻度・内容を調べ、新たな施策の糸口を見つけ出すのが仕事です。
週次ないし月次で定型的に算出している項目もあれば、突発的に部署のメンバーから依頼を受けて分析をすることもあります。1ヶ月に少なくとも5件、多いときは10件ほど調べたい課題が出てくるので、依頼の度に数値分析の条件定義をすり合わせつつ算出しているんです。条件が適切でないと意図した数値が出ないので、都度時間を設けてしっかりすり合わせをしています。

― お客さまのニーズ理解という、通販事業における超重要課題の把握に大きく貢献している竹下さん。分析業務というのは、具体的にはどのようなことをするのですか?
竹下
業務ではBIツール※を使用して、部署間で共有できるよう数字をまとめ、データの分析・活用を検討したり課題の抽出・解決に取り組んだりしています。BIツールは半年間ほどじっくり取り組み、いまはだいぶ業務に活用できるようになりました。
※「Business Intelligence tool(ビジネスインテリジェンスツール)」のこと。取り扱うデータの整理や分析・グラフの生成・集計作業の自動化などの機能で、企業活動を支援するソフトウェアの総称。

CRM企画部門では2種類のBIツールを導入しており、状況に応じて使い分けています。ボタンひとつでグラフ化できるビジュアルがわかりやすいツールを用いて日々の進捗を確認しつつ、さらに詳しい分析をするときは、細かい条件設定が可能なツールで深く調べる…といった具合です。
ツールの使い方は、経営企画に所属していた際にレクチャーしてもらいました。画面の見方や出したい数値の基本的な条件設定方法を教えてもらい、あとは業務を通じてひたすら実践を繰り返し、少しずつスキルを磨いています。適切な条件設定や関数を選択し、これまでたくさんの分析業務にあたってきました。

― 分析業務と聞くと、専門性が高く難しそうなイメージがあるんです。キャンペーンやお客さま情報の分析を日々こなす中で、竹下さんが業務上重視していることがあれば教えてください。
竹下
業務をする上で大切にしているのは、分析業務を進める上で頻出する言葉の定義・データの中身を、詳細に理解することです。例えば「定期残存率」は、「ある特定の時期から残っている定期顧客の割合」を指します。ということは、定期残存率を算出するには“検出する期間”を定義しなければなりません。また、お客さまの中でも定期購入でご愛顧いただいているお客さまに絞って人数を算出するため、お客さま情報から“定期番号”を絞る条件設定が必要であることもわかります。

定期残存率の意味合いを正しく理解すると、どのようなデータが必要で、どういう条件設定で分析すべきか、自ずと明白になります。継続率・費用対効果・回収率…通販事業でよく出る言葉を雰囲気で理解せず、定義をしっかりと頭に叩き込んで、業務に臨むよう心掛けています。
ツールの使い方はマニュアル化できても、データの扱い方はその時々で異なるので、自身で学びを深めていかなければなりません。「〇〇率って、具体的には何を示す言葉なのだろう」「このデータは何を表している数値なのだろう」と疑問をもち、自分で調べて理解しようとすることが大切なのだと、業務を通じて学びました。

分析業務をやり始めた頃は、出てきた数値をみても、合っているのか間違っているのかピンとこなかったんです。調べたい項目の定義や算出する仕組みが理解できるようになって、徐々に異常値や特筆すべき数値の変化にも気付けるようになりました。
― レクチャーで習うだけでなく、自ら積極的に学ぶスタンスの大切さを、実体験を通じて感じているのですね。インタビューの締めに、今後の目標があれば教えてください。

竹下
BIツールをもっと使いこなし、分析の精度を高めたいと考えています。条件定義は解読できるようになりつつあるものの、アプリの仕様についてはわからないことが多いんです。調べたところ、自分でアプリに設定を加えればさらにデータを深堀できるようなので、現在当社で導入しているBIツールに関するブログ記事・Webメディアを読み込み、業務の参考にしています。勉強しながら自分のスキルを磨いていきたいです。
お客さま目線&本質を見抜く視点での分析を|Amazon内の公式ショップを運用するEC企画 前田の場合
2人目のインタビューは、外部EC企画に所属する前田です。ハーブ健康本舗のブランドをより多くのお客さまに知っていただくべく、ECモールからのアプローチを続けています。

外部EC企画 前田
2025年2月に入社。外部EC企画に所属し、国内ECモールの公式店舗を運営しながら、ハーブ健康本舗の新たな販路開拓に貢献している。
― 前田さんが入社して半年が過ぎました。まずは、現在の仕事内容について教えてください。

前田
ハーブ健康本舗が公式ショップを出店している各ECモールの中で、現在はAmazonの運用を担当しています。日々の販売個数をもとに商品の出荷数をシミュレーションして社内の生産部門とすり合わせたり、Amazon倉庫内の在庫を管理したりするのが定型業務です。加えて、ハーブ健康本舗ブランドをAmazonユーザーのお客さまにもっと知ってもらえるよう、さまざまなキャンペーンを企画したり広告を出稿したりしています。
日々の数値の動きは、Amazonの管理画面から確認可能です。ただ、実際に社内でデータを活用する上では、算出した集計結果を分かりやすく整理する必要があります。日ごとの変化は管理画面から進捗を追いかけつつ、各商品の販売数量・投資した広告費のまとめ作業は、別のWebツールを活用しているんです。

― Amazonの公式ショップを運用・管理する上で必要なあらゆる情報をきちんと整理するために、外部のWebツールを使っているのですね。
前田
具体的には、Amazonシステムにて管理しているデータを出力し、社内で導入している別のツールに読み込ませて、実績の確認や資料の作成に活用しています。複雑に紐づいた項目を読み解き、整理した状態でアウトプットできるよう、前任の先輩がシステムを組んでくださっているので、欲しい情報がすぐに把握できてとても便利です。

画面の見方や操作方法はひと通り部内でレクチャーをしてもらえたので、初めて扱うツールでも安心してすぐに業務に取り組めました。細かく自身で集計結果を整理し直さずに済み、業務の工数を削減できるとともに、運用上の課題発見・方針変更の判断がしやすい環境が整っていて、ありがたい限りです。
今年の7月には、より詳細な広告分析を可能にすべく、パートナー企業の担当者さまに教えてもらった外部サービスの分析ツールも導入しました。Amazon内での検索キーワード解析や、広告ごとのインプレッション数・ユーザーのアクション数といった項目を確認できます。今後さまざまな活用ができそうなので、現在ツールの理解を深めつつ、今後の分析体制を強化中です。

― 定型業務に加えて、分析力強化に向け取り組んでいる前田さん。業務を進める上で、大切にしていることはありますか?
前田
お客さま視点を大切にしています。店舗の運営にあたり、Amazon内で競合他社がどのような商品を提供し、どのような広告を出稿しているのかは、常にチェックしているんです。お客さまと同じ目線に立ち、競合商品の中で自社商品がどう見えるかを踏まえて、施策の実績が出る要因・自社の市場での立ち位置を理解するように心がけています。

分析業務で扱うデータは、すべてお客さまの行動の結果です。私たちが提供している商品や広告が、お客さまからどのように見えているのか。分析ツールの使い方はもちろん知っておくべき知識ですが、何よりまずは、お客さま視点をもって数値と向き合うことが大事だと思います。
― 数字でみえる広告の反響の良し悪しに終始せず、なぜこの結果になったのかを考える上で、お客さまの行動にヒントを見出しているのですね。

前田
あとは、分析業務をやる上で、本質的に何が課題なのか、最も成果に影響する部分はどこなのか、常に考えることを常々意識しています。以前、広告運用の改善点を検討する中で、直近に実施した広告の細かい費用設定に時間をかけていたことがあって。でも、その広告にかけている広告費は、全体の費用の数パーセントくらいしかなく、“木を見て森を見ず”になっていたなと反省したことがあるんです。
Amazon内ではさまざまなキャンペーンや広告を並行して運用しており、細かくカウントするとトータルで700種類近くになります。一部広告は、手動で広告予算の分配・調整を進めているため、手のかかる部分が多くあるのが現状です。成果につながる範囲を見定め、効率的・効果的にやれる方法を、思考停止にならずに模索し続けていきたいと思います。

もうひとつ、データは分析して終わりではなく、結果を生かすことが重要です。ちょうど先日、上司との面談の中で「分析で得られたデータの違和感を即座に感じられるようになるとよい」とのアドバイスをもらいました。広告の結果からどういう結論が導けるのか、先月と比較してどう変化しているのか。いち早く気付きを得て、Amazon運用に生かしたいと考えています。
ITリテラシーを磨いて生産性向上&業務効率化を実現
ツールを駆使して分析業務をこなすふたりのメンバーにインタビューし、日々の仕事内容や大切にしている価値観をきいた本記事。

「ITリテラシー」と聞くと、専門的で複雑なWebツールを使いこなす能力のようなイメージがわきます。しかし、現場で業務をこなすメンバーの話から、ツールの操作方法以上に大切にしている価値観を聞くことができました。
- 調べようとしている事柄はどういう定義なのか
- データを構成する要素は何なのか
- 算出した数値はお客さまのどのような行動の結果なのか
- 分析した結果は事業の成果にどれほど影響するのか

目の前の数値に左右されず、本質から理解して自ら学びを深める。ハーブ健康本舗のメンバー一同、ITリテラシーを磨きながら、生産性の向上や業務の効率化を実現していきます。
2025.10.30

著者:住吉
2012年にハーブ健康本舗へ入社、以後10年近く社員として在籍。2022年2月より独立し、現在は外部の立場からハーブ健康本舗を見つめ、ブログを通じて情報発信をしている。

