限られた人員・資金・時間をどのように使えば、効果的に事業を推進できるのか。生産プロセスを効率化し、製品・サービス提供のスピードを上げるにはどうすればよいのか。

お客さま満足を最大化させて市場の激しい競争に打ち勝ち、成長を続けていく上で、はたらく上での生産性は重要課題のひとつです。
通販/EC業界で、これまでたくさんのお客さまに商品・サービスを提供してきたハーブ健康本舗。より生産性の高い仕事をするために、会社の仕組みやメンバーのはたらき方を常にアップデートしてきました。

会社としてどのように生産性の向上を図るのか。本記事では「はたらく上での生産性」をテーマに、ハーブ健康本舗の代表・永松にインタビュー!直近実施した施策の意図や、今後の展望をきいてみました。

代表・永松靖浩
ハーブ健康本舗の創始者。自然美容健康茶「モリモリスリム」シリーズをはじめ、美と健康をサポートするオリジナルの健康食品を開発・販売。直近は新たな事業・販路の拡大に注力しつつ、社内体制の強化として、マーケッターや部署リーダーの育成に力を入れている。
生成AI導入で社内DXを推進!生産性向上に向けた最近の取り組み
― 半年に1度の経営計画発表会をはじめ、社長のメッセージとして「業務の合理化」「効率的・効果的なフロー」など、生産性向上につながるキーワードが頻出するようになったと感じています。
永松
事業が拡大し、商品のご愛用者さまが増えていくにつれ、従来の業務フローが通用しなくなります。次のステージに進むために、より効率的・効果的な方法、成果を出せる方法へとバージョンアップしなければなりません。経営者として、会社全体での生産性を高めるために何をすべきかは、常々意識しています。
アプリの活用やシステム化で対応できることがないか。手動で動かしていたものを自動化できないか。部署ごとでも、責任者を中心に業務フローを常に見直し、必要なシステム導入はすぐ決裁に回すよう動いてもらっています。無駄な時間・無駄な作業をなくし、業務の効率化・システム化を実現していきたいです。
― いわゆる社内DX推進といわれる取り組みですよね。個人的に、2025年2月に行われた「生成AI研修」は特に気になるプロジェクトです。生成AIの導入が、会社にとっての重要な位置づけにあると感じています。

生成AI研修
永松
会社として推進している生成AI導入は、まさに社内DX推進の代表例ですね。私たちの仕事でPCを使わないことはほぼゼロですから、生成AIの導入は仕事の生産性を高める上で、大きな影響値を持つと考えています。
実は、今月から新たな生成AIの勉強会をはじめたんです。前回の研修は生成AIの基礎知識を中心とした履修プログラムを構築していましたが、今回からはより実践的な内容に比重をおいています。本格的に実務をAI化する上で、どういう仕事をどのようにAIに任せるのか。具体的な方針・内容を決めていけるようにしたいと考えています。
オンライン受講を主軸においた講習プログラムで、現在は私も含め10人程のメンバーに絞って講習を受けているんです。先発で受講した私たちが内容をしっかり理解して、業務への導入の目途がつき次第、ほかのメンバーにも共有しながら全社的なAI導入を進めていきます。

― 直近で生成AIの検索能力・文章作成スキルは、飛躍的に進化していますよね。何より出力までのスピードが段違い!うまく使いこなせれば仕事の生産性があがり、私たちのはたらき方も従来と変わっていくように感じます。
永松
生成AIはツールであり、作業を代替えしてくれるところにメリットがあります。生成AIができること・得意なことを任せて、メンバーがよりコア業務に集中できる環境をつくっていきたいです。中でも今後、いまより多くのお客さまにアプローチしようとすると、さらに多くの新商品・販促企画が必要になります。
販売会社にとって、ヒット商品を生み出せるか否かは、社運を大きく左右する重要課題です。市場への競合他社参入が激化することも予測されるため、商品開発・広告出稿・施策実現の高い精度・スピード感が求められます。

― 技術がどんどん革新し、市場に次々と新商品が登場していく中、いかによいものを生み出し、いかに早くリリースできるかが鍵なのですね。
永松
お客さまに魅力が伝わり、競合商品との差別化ができている商品を、どうすれば高確率で素早く生み出せるか。自社のノウハウをマニュアル・フォーマット化してブラッシュアップしていくのと同時に、市場調査・資料作成などAI化できる部分は極力人の手を離すべきだと考えています。
商品によっては公的機関に申請し、受理されてはじめて販売できるアイテムもあります。受理までに半年~1年ほど時間がかかる場合もあるので、いち早く商品をご提供できるよう、最速で準備を進めておかなければなりません。申請資料の作成をAI化したり、場合によってはアウトソーシングを検討しながら、開発業務の大幅なスピードアップを図りたいですね。

資料づくりや広告の入稿対応など、定型的に発生する業務からどんどんテコ入れして、手が空いた時間を企画の考案や中長期的な課題抽出・改善策の検討にあてていく。お客さまによりよいものをより早く提供できるよう、生成AI導入で効率化できるものはどんどん効率化していきます。
成果を最大化する組織とは?社内外の連携体制構築にこめた想い
― 生成AIでの社内DXを推進しているハーブ健康本舗。生産性向上に向け、ほかにも取り組んでいらっしゃることがあれば、ぜひお伺いしたいです。

永松
会社の仕組みづくりの一環で、社内体制の構築・強化に取り組んでいます。お客さまのニーズ・市場環境・会社の売り上げ規模・人員…ここ数年に絞ってみても、さまざまな要素が劇的に変化してきました。時代にあった事業運用・はたらき方を実現すべく、半年から1年に1度、現状の組織図を見直し、改良しているんです。
人員増大・組織改編に伴い、社内の指示系統や報告・相談、決済の流れといった各種フローは、メンバー主体で必要なシステム導入・ルール化を進めてもらっています。以前と比べると、かなり効率的・効果的になりました。

社内で使用するツールの整備は、分かりやすい例だと思います。仕事のやり取りはこれ、勤務管理はこれ、社内申請はこれ…と、以前はその都度システム・ツールを導入していて、その結果どれをどう使うのかがわかりにくくなってしまったことがありました。
必要な機能を洗い出し、ベストなツールに集約・統合できたことで、現在は業務がやりやすくなりました。社内のコミュニケーションが円滑になったのはもちろん、多様な社内申請がオンライン上で完結できるようになった点が大きいです。販促実行までの流れが伝言ゲームにならずスムーズに経営判断ができるのは、事業推進において大きな強みだと感じます。
― 組織内での決裁フローやコミュニケーションの円滑さは、商品開発・販促実施のスピード感に大きく直結します。ツールの整備によって課題が解消されたのですね。

永松
社内組織の体制強化を進めつつ、もうひとつ、社外との協力体制構築にも力を入れています。限られた社内リソースで生産性を高めるには、“外部に任せる”というアウトソーシングの観点が重要です。専門性の高いパートナー企業と手を組み、どのような業務をお願いすべきか。各部署一人ひとりが現場で常に考え、無駄のない情報連携・即座に動ける体制づくりを進めています。
業務によっては内製化して進めている部分もありますが、事業規模拡大に伴い業務量も増えつつあるここ数年は特に、専門性の高い外部パートナー企業とタッグを組んで、アウトソーシング・外部委託を積極的に取り入れています。「2:8の法則」は有名ですが、8割の成果につながる取り組みはたったの2割です。2割の重要な業務にメンバーが集中できるよう、自分たちがやるべきこと・得意な業者に任せることを明確に分けて、仕事を進めています。
― 生産性向上につながるさまざまな取り組みがどんどん進んでいます。ここまで熱意をもって生産性向上に取り組むのは、どういう理由があるのでしょう?会社経営をする中で、何かきっかけがあったのでしょうか?

永松
私自身が元来、何事も合理的に進めないと気が済まない気質なんです。誰しもそうかと思うのですが、極力無駄なことには時間を使いたくなくて。会社の創業期から変わらず、なるべく効率的・効果的なやり方を意識しながら、商品開発や企画の立案・具現化を進めていました。
ただ、社員が50人まで増えて組織が大きくなると、従来のやり方だと通用しない場面がしばしば発生するようになったんです。ホウレンソウの流れがブラックボックスで把握しにくくなり、役職付きのメンバーが判断に悩んで、時にはミスにつながったり…。問題が浮彫になって、これはどうしたらいいんだろうと考え、極力無駄を省き、やるべきことに集中できる方法を考えてきました。
― 組織規模の変化に合わせて、組織体制の見直しや社外との連携強化を進めてこられたのですね。
永松
もちろん現時点でも、ハーブ健康本舗は、各部署の生産性が高い会社だと自負しています。10月末で150億円の売上を達成しましたが、限られた人数で高い目標を達成できているのは、各自が生産性の高いはたらき方を実現し、真摯に取り組んでくれているからです。
現在ハーブ健康本舗では、2030年までに200億円という中長期目標を掲げています。目標達成のためには、いままでよりさらに多くのお客さまにアプローチし、圧倒的なご支持をいただかなければなりません。お客さまにご提供する価値・品質を高めるために、現状の仕事のやり方を見直し、成果を最大化する組織に成長できるよう、全員で知恵を絞って乗り越えていきたいと考えています。

実は、業務内容的に定型の仕事が多いバックオフィス・業務推進系の部門には、半期ごとの目標を設定する中で、「合理化推進目標」という項目を設けているんです。業務の合理化推進につながるアイデアを提案してもらい、よいアイデアを実行して、どういう成果が出たのかを報告してもらっています。
目標においたことで、社内の意識も各段によくなっていると実感しています。実際、1年間で300万円近くのコスト削減に成功した部門も出てきているんです。引き続き各部署のメンバーには、自部署を運用する経営者だという気持ちで、部署ひいては自分たちの生産性をより高めるために何をすべきか、考えてもらいたいと思っています。
業務の合理化・組織の最適化を実行!生産性の高いはたらき方でお客さまにもっと支持される会社に
競争が激しい通販/EC市場で、一人でも多くのお客さまに価値をお届けし、ご満足いただけるよう、日々活動を続けるハーブ健康本舗。限られたリソースの中で、他社よりも早く商品・サービスをご提供できるよう、生産性の向上を実現すべく、取り組んでまいりました。
社内DXの推進や社内外の組織体制構築に関するエピソードを通じて、ハーブ健康本舗の価値観・マインドが少しでも伝わっていましたら幸いです。

仕事の成果を最大化できるよう、2026年以降も引き続き、会社の仕組みをブラッシュアップしていく所存です。本ブログでも定期的に取り上げてまいりますので、ぜひまたご紹介させてください。
2025.12.5


著者:住吉
2012年にハーブ健康本舗へ入社、以後10年近く社員として在籍。2022年2月より独立し、現在は外部の立場からハーブ健康本舗を見つめ、ブログを通じて情報発信をしている。

