美容・健康関連のオリジナル商品を企画・開発し、全国のお客さまに届けてきたハーブ健康本舗。事業の根幹を支えているのが、長年の実践を通じて培ってきたマーケティングのノウハウです。



現在、当社では「マーケティングとは何か」を改めて言語化し、社内全体でその考え方を共有しようとしています。さらに、“売れる仕組み”をつくるプロのマーケターを育てるため、組織体制の見直しや、学びと実践を支える環境づくりを進めています。
今回は、創業からマーケティングを推進し続けてきた、ハーブ健康本舗の代表・永松にインタビュー。当社が考えるマーケティングの本質や、仕事のやりがい、これから担い手となるマーケターに求めるマインドについて話を聞きました。


代表・永松靖浩
ハーブ健康本舗の創始者。健康食品や化粧品の開発・販売に取り組みつつ、社内体制の強化としてマーケターや部署リーダーの育成に力を入れている。
マーケティングは「心理学×科学」。“売れる仕組み”をつくる仕事とは
― 長年のマーケティングノウハウを武器に、Web市場の第一線で戦ってきたハーブ健康本舗。改めて、会社が考える「マーケティング」とは何なのか、お伺いしたいです。

永松
マーケティングの本質は、商品・サービスが自然に売れる仕組みをつくることであり、これを当社の定義としています。人の心を動かし行動させる、言い換えれば購入いただけるようにコミュニケーションをとることがマーケティングです。
心を動かすからこそ、マーケティングは「心理学×科学」とも表現できます。ここで言う科学とは、根拠をもって説明ができること。お客さまの行動をどう促すか。消費者の心をどう動かすか。どのような仕組みにすれば自動的に売れ続けるのか。マーケターは考え続け、根拠に基づいて仕組み化しなければなりません。

自然に売れる仕組みをつくるには、商品を使ってくださるお客さまのことを理解し、ファンになっていただく仕掛けが重要です。お客さまに手に取っていただくための「新規性」と、お客さまに長く愛される「継続性」。この二つを兼ね備え、その価値をお客さまの視点で説明できる商品・サービスが理想的です。
お客さまに選ばれる商品・サービスの創造に大切な視点は、当社の価値観のひとつ「バリュー」にも表れています。当社の価値や存在意義を示すバリューは、マーケティングにおいても欠かせない考え方です。

― マーケティングというと、市場のニーズ調査や広告運用の仕事が想起されます。でもお話を伺いながら、ハーブ健康本舗では「売れる仕組みをつくる」という、もっと幅広い仕事を含む定義だと感じました。
永松
非常に重要な視点です。プロのマーケターは、自動的に売れる“仕組み”を構築することが求められています。市場調査・分析から商品の企画立案、お客さまに手にとっていただくための販促を考える。さらに、一度購入いただいたお客さまとの関係性構築を指すCRM※1に、継続的なコミュニケーションによるLTV※2の最大化まで…。
※1 Customer Relationship Managementの頭文字をとった言葉。「顧客との関係性の管理・調整」のこと。お客さまの情報や購入履歴などを活用し、継続的な関係を築くための考え方・取り組み。
※2 Life Time Valueの頭文字をとった言葉。「顧客生涯価値」のこと。一人のお客さまが、企業との取引を通じてもたらす価値を示す指標。

ここまで考えるのがマーケティングにおける“戦略”であり、ここまでがマーケターに求められる仕組みづくりです。新規顧客向けの広告バナーも欠かせない要素ですし、加えて購入後の関係づくりまで考えなければならない。さらに言えば、構築した売れる仕組みは一度つくって終わりではありません。お客さまの反応や数値を確かめながら、改善し続けることが大切です。
― 改めて、マーケティングとは何なのかについて、私自身も思考がクリアになるのを感じています。そもそも社長は、マーケティングの本質について、いつ頃から考え始めたのでしょうか?

永松
マーケティングの本質が何なのかについては、創業当初から常に考えていたんです。私はもともと営業職としてはたらいていました。仕事を通じたさまざまな出会いの中で、自分で考えたアイデアを形にしてお客さまに届けたいという思いが芽生え、独立をしたんです。今も日々勉強していますが、当初は日々死にもの狂いで勉強しながらお客様と向き合っていました。
1998年に創業し、約30年にわたり実務で経験を積み重ねてきましたので、マーケティングの本質について自信をもってお話しできます。
選ばれ、使い続けてもらうために。マーケティングの難しさと面白さ
― 永松社長が長年マーケティングに向き合ってきた中で、特に難しいと感じるのはどのような点でしょうか?

永松
いろいろありますが、やはりお客さまのニーズを把握するというのが、とても難しいと感じます。特にいまの時代は、類似商品と差別化できるかが重要です。世の中にものが溢れている中、いままでにないまったく新しい価値を生み出すのは、昔以上に難しくなっていると感じます。それでも、お客さまの新たなニーズを誰よりも早く見つけ、そのニーズを満たす商品をいち早く提供する。これは、他社との競争に打ち勝つ上での必須条件と考えます。
もうひとつ、お客さまが自社商品に対してどういう不満・不安・不便を感じているかを把握し、改善する。商品を使い続けていただく上で重要ですが、これがまた難しい。仮説を立てて改善しても、どこかにズレがあって、結果に結びつかないことはよくある話です。お客さまニーズの正確な把握は、マーケティングにおける永遠の課題と言えるかもしれません。
― 確かにお客さまのニーズ把握は難題ですよね…。プロのマーケターとして、どのように取り組めばよいのでしょうか?

永松
まずはどんなジャンルでもよいので、市場で売れている商品を探す。そして、その商品がなぜ売れているのか、理由を調べることから始めるほうがよいと思います。価格帯・訴求・使用感など、商品の構成要素について、自分で手に取り感じたことを書き出してみる。人気商品には人気である理由が必ずあるので、深堀りして調べると、売れている理由が必ず見えてきます。この作業を数多くやってみるんです。すると、売れている商品の共通点が見えてきます。
また、お客さまの目に留まり、手に取っていただくためには、3C分析が欠かせません。「市場・顧客」「競合」「自社」という3つの視点から分析し、どんな特徴のある商品だったら勝ち筋を見いだせるかを考えることが大切です。人気商品の調査は、3C分析でいうところの「競合」調査にあたります。
| Customer (市場・顧客) | Competitor (競合) | Company (自社) |
|---|---|---|
| 市場の規模はどれくらいか? 市場に成長性があるか? 顧客のニーズがあるか? | どのような同業他社がいるか? 売れている商品の特徴は? 新規参入企業はいるか? | 自社のブランド力は? 独自の技術や資源をもっているか? 何が強みになるか? |
言及すべきもうひとつの重要なポイントが、お客さまに長く使っていただく継続性です。当社は美容・健康関連のオリジナル商品を数多く企画・開発してまいりました。長年の販売活動を通じて、使い続けたいと思える品質・使用感を追求する重要さを痛感しています。
莫大な広告費をかけてお客さまに手にとっていただけても、その後の売上で広告費を回収できなければ、ビジネスとして採算がとれません。商品を使うお客さまの立場になって、本当に何度も使いたくなるレベルの価値が提供できているか。これもマーケティングを成功に導く鍵だと思います。

― マーケティングで成果が出る背景には、綿密な情報収集と徹底した品質へのこだわりがあるのですね。大変な仕事であるのと同時に、面白い仕事でもあると思います。どういう場面で、仕事のやりがいを感じますか?
永松
競争が激しい市場で、ヒット商品が出せたときはやりがいを感じます。似たような商品が多く出回る中で、お客さまが当社の商品を手に取っていただけるのは嬉しいです。独立当初はひとりでしたが、いまは商品開発や販促部門の多くのメンバーと一緒にマーケティングに取り組んでいるので、私ひとりでは実現できないような新しい価値を提供できているように思います。



例えば、指定医薬部外品の『ほぐらくケアEX』や、機能性表示食品の『ヒザこし健康源』。ヘアケアジャンルの『HORMO』シリーズも、競合が多い中で頭角を現すことができました。もちろん現状に妥協せず、お客さまにさらにご満足いただけるよう、バージョンアップ品をはじめラインナップ拡充に努めています。
目指すのは「ブランドの経営者」。事業全体を考え、自ら動くマーケターへ
― 会社全体のマーケティング力強化に向け、さまざまなプロジェクトが進行中であると伺いました。具体的には、どのような取り組みが行われるのでしょうか?

永松
今期から組織体制を変えるのですが、背景にはマーケティングの話が絡んでいます。実は直近で、ブランドマネージャーという新しいポジションを提唱しました。部署で培った専門性を土台に、事業全体へと視野を広げるメンバーを輩出しようとしているんです。
ブランドマネージャーとは、市場調査から勝ち筋を見つけ、そのブランドの売れる仕組みを一貫通貫して構築し最適化するポジションを指しています。新規のお客さまへのアプローチから、ファンになっていただくための継続促進まで。さらに、LTVや広告費の回収状況、ブランド全体の収支まで把握し、改善につなげることが求められます。端的に言えば、マーケティングの一連の流れを見渡し、事業全体の成果につなげられる人です。









これまでは、各部署が専門性を発揮し、マーケティングの各フェーズを担ってきました。今後はその強みを生かしつつ、一連の流れを見渡せる人を育てていきたいと考えています。
ブランドをひとつの事業としてみたときに、収支がどうなっているのか。市場調査・販促・収支管理に至るまで、ひとつのブランドを軸にトータルで判断し、最適化していく。ブランドマネージャーが各部署と連携しながら、ブランド全体の戦略と改善を推進できる体制を整えていきます。
― ブランドマネージャーは、今後の事業拡大を担う重要な役割なのですね。マーケティングの中核を担うにあたり、どのような素養・マインドが必要なのでしょうか?

永松
ブランドマネージャーは、言い換えればブランドの経営者です。ひとつのブランドを、ひとつの事業として認識し成り立たせる。これがブランドマネージャーの重要な役割です。ひとつのブランドを事業として捉えるには、経営者の視座・経営者感覚が求められるとも表現できます。
販促担当者からブランドマネージャーへと役割を広げる上で重要なのが、部分最適から全体最適への視点の転換です。担当する施策だけでなく、事業全体にとって何が最善かを考えることが求められます。社内のメンバーにも、経営感覚を高くもってほしいです。

費用対効果を踏まえて広告を運用し、初回購入いただいたお客さまへ継続施策でアプローチする。施策を続ける中で、1年…3年…5年後のLTVを把握していく。そこが分かれば、広告費を何年以内で回収して、現状いくら広告費が使えるのかまで言及できます。ブランドマネージャーには、自ら現状の課題に気づき、改善できるレベルを目指してほしいです。
“売れる仕組み”をつくるマーケティングの担い手へ伝えたいこと
お客さまを理解し、選ばれるブランドを生み出し、長く愛される関係を築く。“売れる仕組み”をつくるマーケティングの担い手として、育成を進めていくブランドマネージャー。






当社が目指す理想のマーケター像は、一つのブランドを事業として捉え、自ら課題を見つけ、改善に向けて動ける人です。幅広い知識と経営者の視点が求められるからこそ、学びを実践に変え、経験を重ねていくことが欠かせません。
ハーブ健康本舗でも、その挑戦を支える環境づくりを進めています。本記事の締めに、会社としての取り組みと併せて、永松からブランドマネージャーを目指す社員へのメッセージをご紹介します。

永松
企画職として必要なマインドや、経営者に求められる視点については、会社で企画マニュアルを用意しています。まずは読み込み、自分の強みやこれから伸ばしたい点を確かめながら、実務に生かしてほしいです。実際に事業の数値を追いかけながら、どんどん経験を積んでください。
経営企画にて、商材・ブランドごとの数値実績が算出できるよう、準備をしてもらっています。毎月の商材別の経営状況・コンディションを確認しながら、戦略を立てるのがブランドマネージャーの仕事。数値実績を把握する環境を整えているので、こうした情報を活用しながら、ブランドマネージャーを目指す皆さんには経験を重ねてほしいと考えています。
ブランドマネージャーにとってもうひとつ重要なのが、AIを使いこなす力です。方針策定・クリエイティブ制作・検証のスピードを高めるためにも、欠かせないものだと考えています。 すでに一部の業務フローは改善済みですが、さらに強力に「AI×デジタルマーケティング」を推し進めていきたいです。
2026.11.4


著者:住吉
2012年にハーブ健康本舗へ入社、以後10年近く社員として在籍。2022年2月より独立し、現在は外部の立場からハーブ健康本舗を見つめ、ブログを通じて情報発信をしている。
