ハーブ健康本舗では、メンバーが仕事をする上で成果を出すために必要な指針として、22ヶ条の考え方・行動を提唱。日々の朝礼でスピーチの題材にしながら、常に意識して仕事をしています。
経営ビジョンの実現に欠かせない行動指針。仕事以外のことでも指針通りに行動すれば、大きな目標や夢が実現できるはず!
合格率1%未満の狭き門「剣道八段への道」に挑む、品質管理を担当する伊島。前回初めての試験に挑戦したものの、結果は不合格。悔しさを胸に、今度こそはと再挑戦する彼の姿を追いました。

品質管理 伊島
2021年4月入社。化粧品を中心に、ハーブ健康本舗で取り扱う商品全般の品質管理業務全般を担当している。剣道八段試験に挑戦中。
逆算のプロセス設計|目標達成のためのプロセスを逆算して、具体的に設計する
目標を立てて次にやることは、結果思考でプロセスを設計することです。結果思考とは、将来実現したい理想の状態を明確にイメージし、それを実現するまでのプロセスを、理想の状態から逆算して設計し、今やるべき事を具体的にして対処する方法です。目標を明確に立てたら、必要な要素をすべて書き出し、優先順位を考えて、いつまでにそれぞれの要素を完結させるかを決定します。
クレド 第7条
[逆算のプロセス設計]より
2025年における剣道八段の審査は、5月・8月・11月の合計3回が予定されています。今回伊島が挑むのは、2025年5月2日、京都の京都市体育館にて開催される審査会です。

リベンジに燃える伊島。試験への熱意を語ってくれました。
― 試験の日程が迫っていますが、調子はいかがですか?
伊島
昨年の11月に初めて挑戦した時よりも、心が穏やかで落ち着いています。前回は会場の異様な雰囲気に得体の知れない感覚を覚えたのですが、一度試験を経験したことで審査の流れが把握でき、本番に向け体と心をどのようにコントロールするか、ある程度イメージが持てるようになりました。

― 経験がアドバンテージとなり、心情的にも余裕が生まれているのですね。
伊島
前回の試験時に撮影してもらった自身の試合映像を何度も確認して、課題を見つけられたのも大きいです。ここ最近の稽古では、次の試験で課題をちゃんと修正できるよう、取り組んできました。

改善点のひとつが、竹刀をもつ左手の緩みです。竹刀は強く握りすぎても緩すぎてもダメで、生卵を握るイメージが理想とされています。前回の試験中は気づかなかったのですが、映像を見返すと、時折自分の左手が開いたり閉じたりしているのに気づきました。
普段の練習では決してやらないミスです。改めて、防具をつけて稽古する際は、左手をはじめ自身の所作・動きを見直すことにしました。声を出す時の体の動き、打突後の所作、先をかける動作、攻める直前のタメのつくり方…諸先輩方の動きを参考にしながら、本番までとことん追求しています。

フィジカルを強化すべく、 以前より筋力トレーニングの回数を増やしました。トップレベルの剣士と比較するとパワーが足りていないので、闘える最低限の筋力と体重管理に取り組んでいます。5/2の本番がピークになるよう、日頃の体の変化を感じ取りながら調整していく所存です。
― 自身の現状を冷静に分析し、京都での本番に向けて課題を洗い出し、改善に向け取り組んでいらっしゃるのですね。

伊島
常に意識して日々稽古することにより、イメージしている完成形に近い状態へは持っていけるのではないかと思います。ただ、日本の数ある試験の中で最も取得困難と言われている試験のため、そう易々とはいかないと覚悟しています。合格を得るには圧倒的な集中力・圧倒的な体と心の準備が必要なので、本番に向けしっかりと養っていきます。
実は前回の審査に落ちた後、なぜ自分は八段を目指しているのか、改めて自分に問うてみたんです。じっくり考えた結果、私の根底にある「剣道を極めたい」という想いに、改めて気づくことができました。どうなれば極めたことになるのか…ゴールは見えていませんし、人生最後を迎える日が来てもわからないかもしれません。それでも「極めたい」という想いを胸に、今日まで修行しましたし、これからも納得いくまで修業したいと考えています。

もちろん八段に合格したらそれで終わり、ではありません。剣道家としての人生をより濃いものにできるよう、その最初の一歩として、八段の試験に全力で挑みます。合格率1%にも満たない本当に狭き門で、合格された方の多くが7〜10回受講してようやく受かっているのだと聞きました。日々変化するコンディション・精神状態を確認しながら、覚悟をもって挑戦します。
一流のプロを目指す|圧倒的な結果を出せる「一流のプロ」を目指し、結果で勝負する
プロとは結果で勝負する人の事です。仕事にとって結果とは、どれだけの成果を生み出したかに尽きます。私たちは結果を出せるプロになる為に、明確な目標と具体的なプロセスを設計して、目標を達成するためにベストを尽くします。また、私たちは、このクレドに表現された価値観に基づき判断し行動することで、私たちの経営ビジョンを実現していきます。
クレド 第21条
[一流のプロを目指す]より
いよいよ迎えた試験本番。2日間にわけて開催された京都での八段審査会には、全国から1826名の剣士が集結しました。

65歳以上の参加者は午前の部に、65歳未満の参加者は午後の部に割り振られました。順番に名前を呼ばれ、受付を済ませる剣士たち。試合の順番は受付後に発表され、自分の試験がはじまるまでは各自身体を動かしたり準備を済ませたりして過ごします。


伊島
今回の試験は、前回よりも終始落ち着いていたように思います。試験会場に体を動かせるスペースがあったため、体が冷えないように定期的にアップしながら、心と体の状態を入念に確認しつつ、立ち合い時にピークの状態になるようイメージトレーニングを行っていました。

体育館内を8つの審査ブロックにわけて行われる八段審査では、審査員6名の鋭い視線が向けられる中、淡々と試合が進んでいきます。

一次試験に挑戦する選手たちは、審査ブロック内で4人ずつに割り振られ、同じ組の中の2名と試合をします。時間は1試合につきたったの2分間。二次試験へと駒を進めるには、2名の剣士との闘いの中でもてるすべての技を繰り出し、結果を残すしかありません。

七段を受有後に10年以上修行し、剣道の奥義に通暁・成熟した者でなければ得られない剣道の最高段位。卓越した剣道家たちが次々と剣を交え試合を進める中、ついに伊島の出番がやってきました。

伊島
今回の試験で相手となるふたりは、私よりも格上の剣士です。そのうち一人は世界剣道選手権大会日本代表の経歴を持つ選手でした。しかしながら、格上だからといって物怖じしていては太刀打ちできません。とにかく持てる力を全て出し切ることだけに集中しました。




伊島の八段試験、1試合目。相手選手は長身で、太刀筋に勢いのある凄腕の剣士でした。よい形で立ち会うものの、双方にて有効打突を奪うことができないまま2分間が終了。

そして運命の2試合目。世界剣道選手権大会日本代表経験をもつ剣士との立ち会い。泣いても笑っても、ここで通らなければ八段合格はありません。




先に動いたのは相手選手でした
伊島
試合の序盤、始まったばかりのタイミングで、相手から初太刀※に面を奪われてしまう展開となりました。虚を突かれ充分に対処できず、打たれた瞬間「しまった!」と思いました。
※初太刀(しょたち)とは、最初に繰り出す攻撃のこと。



このまま有効打突を取れないと、私は間違いなく不合格になるため、途中で焦りが生まれていたように思います。初太刀以外には打たれなかったのですが、最終的に私自身が有効打突を奪うことができないまま、2分間が過ぎてしまいました。

試合後、体育館内に張り出された合格発表の知らせ。一次審査の合格者に、伊島の番号はありませんでした。

伊島
私と立ち合いを行った剣士は、おふたりとも一次審査に合格し、そのうちのひとりは二次審査にも合格して、八段昇格を果たしました。強い相手と剣を交えられたことは、私にとっては大きな収穫です。大きな経験値を得たことは事実ですが、それでもやはり、試合直後は悔しい気持ちでいっぱいでした。

失敗に学びやりきる|チャレンジに失敗はつきもの。失敗しても後悔せず、失敗に学んで再チャレンジ、諦めない
何事も順風満帆にコトが進めばいいのですが、新しいチャレンジに失敗はつきもの。大切なのは、「その失敗に何を学び、今後にどう生かすか」ということです。だから、私たちは失敗しても後悔せず、まずは冷静になり、現状を正しく把握、失敗の原因を特定し、結果思考でプロセスを組み直して再チャレンジします。失敗も成功するまでやれば、失敗ではない。諦めずにやりきります。
クレド第10条
[失敗に学びやりきる]より
八段試験から1週間後。伊島に改めて時間をもらい、率直な想いを聞いてみることに。

― まずは今回も試験会場に同行させていただき、ありがとうございました!真摯に剣道と向き合い、全力で挑戦された今回の試験、本当にお疲れ様でした。お伝えいただける範囲で、現在の心境をお伺いしたいです。
伊島
試合直後は悔しさがあったのに加えて、「私のレベルでは現時点で合格できないかもしれない」という気持ちでいっぱいでした。ただ、今回撮影していただいた試験中の動画を見ると、自身があれだけの猛者を相手に、引けを取らない戦いを見せていることも認識できたんです。

相手も試合中、私を警戒し、必死に向かっていることが感じ取れました。相手だって同じ人間で、張り詰めた緊張感の中、ギリギリの状態で闘っている。そう思うと、壁は高いかもしれませんが、試験に対し悲観的にならず、諦めずにやり遂げたいと思えるようになりました。
着実に前回の試験時よりもよくなっている点があり、自身の剣道力はレベルアップしているように感じています。合格のチャンスはまだあるはず。八段試験にチャレンジすることは無意味でない。いまは試験直後より前向きになっています。

― 正直言うと、試験直後は伊島さんの悔しいという気持ちが伝わり、何とお声がけしてよいか、言葉が見つかりませんでした。いま、こうしてご自身を振り返る中で、前向きなコメントが出ていることが嬉しいです。
伊島
ありがとうございます!もちろん、次の試験に向けた課題も見つかりました。冷静に試合を振り返ると、今回対戦した剣士のように、格上の相手に対しても有効打突を奪えるよう改善していかなければなりません。

具体的な改善点のひとつが、「先に先をかけて※相手を動かす」精度を現在よりもレベルアップさせることです。前回よりも相手を制して、敢えて前に出させるように意識して動けてはいましたが、もっと粘り強く、ギリギリまで我慢して焦らして、自分の攻撃の機会を増やせるようにしなければと考えています。強い相手と対峙しても太刀打ちできるよう、しっかり経験を増やしていきたいです。
※剣道における「先(せん)をかける」とは、相手の動きを先読みし、行動を制して有利に試合を運ぶことを指す。

ひと通りの剣道の技は体得していますが、同じ技においても打つ角度や竹刀の表と裏※を使い分けるなど、技の精度を極限まで高める余地も十分にあると感じました。併せて、前回の試験でも課題にしていた剣士としての風格をもっと追及していきたいです。師匠が弟子に稽古をつけるような、師の位としての風格を相手選手から感じたので、自分との違いを研究しています。
※剣道の試合で対峙した際、竹刀を構える自分の左側を「表」、右側を「裏」という。表と裏で有効打突が変わるため、いかに表と裏の攻撃を使い分けられるかによって試合運びが変わる。

― すでに今回の試験から、さまざまな学びを得ているのですね。
伊島
自分の審査を終えた後、そのまま館内に残り、二次試験を全試合見学しました。八段合格に挑む剣士は、どのような技を使っているのか?攻め合いからどのように相手を崩すのか?風格がある選手はどのような所作をしているのか?勉強させていただきました。今後の稽古でどんどん試して、修練を重ねて、一太刀出すごとに有効打突が取れるようにレベルアップを図ります。

次回、2025年11月に東京で八段階審査が行われます。残り6ヶ月程度みっちりと修行し、本番に備えていきたいです。課題を修正・解決していくだけでなく、現在よりもさらにレベルアップできるよう、方法を考えて取り組みます。
常にチャレンジ|拡大可能な1勝を作るために、常にチャレンジし続け、現状を打破する
現状に満足し、現状に留まることは、「退化」を意味します。だから、私たちは現状に留まることを断固拒否します。成功させにくい新しいことに日々挑戦し、努力と工夫を重ね、成功させるために前進し続けます。チャレンジする際は、事前にリスクとリターン、必要事項を正しく把握して小予算でテスト!私たちは、評論家ではなく勇気ある実践家、常にチャレンジし続けます。
クレド第9条
[常にチャレンジ]より
八段審査への決意を新たにした伊島。実はもうひとつ、挑戦していることがあるんです。

伊島
実は今年の4月に開催された国民スポーツ大会の福岡県予選にて、福岡県候補選手を勝ち取ることができました。一昨年・昨年はあと一歩のところで敗退し、悔しい思いをしていたので、今回リベンジが果たせて嬉しかったです。八段審査に向けた修行を試合で活かせたことで、結果を残せたと感じております。
2021年度・2022年度にも福岡県の候補選手に選ばれたのですが、その際はコロナ禍だったこともあり、稽古が自粛されたり大会自体が中止になったりしていました。現在は活動が通常通りに戻っており、たくさんの強化稽古や合宿が組まれています。運営に関わる皆さまには頭が上がりません。さらにパワーアップできる機会をいただいたことに感謝しております。

― いわゆる「国体」ですよね?日本最大のスポーツの祭典で、福岡を背負って試合に挑めるかもしれないなんて、本当にすごい!
伊島
福岡は猛者ぞろいで、国体の予選を勝ち抜けたことは奇跡に近いと感じています。突破したからには、すべての選手の想いを背負い、最後まで諦めずに代表を狙っていく所存です。6月以降から本格的に試合が組まれていくので、しっかりと取り組みます。

― 八段審査への道として取材をしてきましたが、このところは試験への挑戦というだけでなく、伊島さんの剣道家として高みを目指していく、壮大な挑戦のドラマを追いかけているような気分です。
伊島
ただ八段をとって満足するのではなく、合格した後に何を目指すのかを真剣に考えないと、ただの自己満足に終わってしまい、社会への貢献はありません。深く突き詰めることで、剣の道の深み・道を極めることのゴールが、少しでも見えてくるのではないかと考えるようになりました。

八段審査を受けるようになって、剣の道を極めたいという思いだけでなく、剣道文化を伝承していきたいという思いが強くなりました。人口減少に伴い剣道人口も減って、いつか剣道文化がなくなってしまうのではないかと危惧しています。そうならないよう、少年剣道界の活性化・生涯剣道を行ってもらえる剣士の育成に、微力ながら取り組んでいるんです。
剣道の未来をつくっていくには、何よりまずは自分自身がしっかり学び、レベルの高い修行を行い、伝承していかなければなりません。八段審査への挑戦をきっかけに、自分の剣道をとことん突き詰め、誰も到達しえなかったところまでやり切り、まだ見ぬ景色を見たいです。そして、同じ志をもつ剣士が増えるよう、子どもたちへの剣道の指導にも力を入れ、剣士育成に関わりたいと考えています。

現状に留まらず、剣道に真摯に向き合い突き進む伊島。今後の躍進が楽しみです。
2025.5.27

著者:住吉
2012年にハーブ健康本舗へ入社、以後10年近く社員として在籍。2022年2月より独立し、現在は外部の立場からハーブ健康本舗を見つめ、ブログを通じて情報発信をしている。